【読書感想】蜜蜂と遠雷/恩田睦

読書感想
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★書籍データ★
タイトル:蜜蜂と遠雷(上下巻)
作者:恩田睦
出版社:幻冬舎文庫
読了日:2023.1.27(上巻)、2023.4.13(下巻)

★感想★
直木賞、本屋大賞W受賞の「蜜蜂と遠雷」、読了しました。

あらすじはこちら。

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。
「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。
彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?

幻冬舎ホームページより

作者の恩田睦さんが実際にある浜松国際ピアノコンクールを取材してから、
3年後に執筆開始、約7年間の連載を経てできたという本作。

ピアノコンクールが舞台ということで、どういう話の進み方をするのかと思いきや
ページを開くとまずコンクールの課題曲一覧と主人公たちの演奏するプログラム一覧がでてきます。

プログラムの中には自分の好きな楽曲もあり、
「コンクールということは途中で落ちる人もいるだろうし、この曲は演奏されるのだろうか!?」
とか考えるだけで、読む前からドキドキしました。

ピアノコンクールが舞台なので演奏シーンが多く、
その演奏を背景に主人公たちの心情も綴られていくのですが、
楽曲を聞いたことがなくても聞いている気分になれるような楽曲の表現が素晴らしい。

様々なバックグラウンドをもつ登場人物たちが
コンクールを通じて自分や周りと向き合っていく姿がとても魅力的で愛おしい。
苦しみながらも音楽を愛すことをやめられず、それぞれが成長していく姿が
とても温かい気持ちにしてくれます。

そして本作は読んでいると、とにかく実際に楽曲が聴きたくなる!!
素敵なストーリーと並行して、楽曲を聴けば素晴らしい音楽体験も味わえるという
2倍、3倍にお得(という表現が正しいかはさておき)な作品だと思います。

私は特にプロコフィエフとバルトークのピアノ協奏曲3番が好きで
一時期ヘビロテしていました。笑

生のコンサートで聴きたいよ~~~

★★★ここからはネタバレ注意★★★

個人的には主人公たちの関係性にもとても魅了されました。

特に風間塵と栄伝亜夜が直接の言葉ではなくピアノの演奏で語り合い、通じ合うシーン。

この物語にはたくさんの天才が登場しますが、
その中でも特別な異質さ(いい意味で)をもって通じ合うことができる相手って
なんだかすごく特別感がでて萌えます。。2人はソウルメイトなんだろうな。。

スピンオフ短編集「祝祭と予感」を読むと2人のその後も少しだけ描かれており、
きっと少しずつ形を変えながらも、2人は音楽を一緒に連れ出し続けるんだろうなぁと
とても幸せな気持ちになりました。
気になる方はぜひ読んでいただきたいです!

音楽が好きな自分としては、
これからも繰り返し読みたいと思える一冊に出会えてうれしかったです♪

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