★書籍データ★
タイトル:祝祭と予感
作者:恩田睦
出版社:幻冬舎文庫
読了日:2023.4
あらすじはこちら。
大好きな仲間たちの、知らなかった秘密。
幻冬舎ホームページより
入賞者ツアーのはざまで亜夜とマサルとなぜか塵が二人のピアノ恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。
芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員ナサニエルと三枝子の若き日の衝撃的な出会いとその後を描いた「獅子と芍薬」。
作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけとなった忘れ得ぬ一人の教え子の追憶「袈裟と鞦韆」。
ジュリアード音楽院に留学したマサルの意外な一面「竪琴と葦笛」。
楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏に天啓を伝える「鈴蘭と階段」。
ピアノの巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った永遠のような瞬間「伝説と予感」。
全6編。
★感想★
直木賞、本屋大賞のW受賞をした「蜜蜂と遠雷」の続編といえるスピンオフ短編集。
本編がとても面白く、後半は特に一気見をしたのですが、
その勢いで本作も購入し、すぐに読んでしまいました。
内容としては全6編で、本編のような演奏シーンはほとんどなく、
音楽性よりも登場人物たちの人間性にフューチャーした作品だと感じました。
本編後の未来の話がほとんどですが、中には過去の回想も入っていたりして、
あの二人は過去にこんなことがあって本編のあの関係性になっていったんだなあと
より登場人物たちの解像度が上がる作品だと思います。
それぞれ20-40ページほどの短編集になっているので、サクッと読めるはないかなと思います。
とにかく登場人物がみなそれぞれの目標、夢、音楽に対して熱い思いがあって魅力的なので
「蜜蜂と遠雷」が好きな方はぜひ読んでほしいと思います!
★★★ここからはネタバレ注意★★★
私が特に好きだったのは、奏ちゃんが運命のヴィオラと出会う「鈴蘭と階段」。
本編ですっかり風間塵の虜になった私としては
コンクール後の進学と生活の部分で「ほほう!?今そんな日常を過ごしているの…!」
と大変もだえる内容となっておりました。
年下の風間塵に多大な信頼を寄せる亜矢ちゃんがとても、、いい。。。
そして幼少期の風間塵とホフマン先生の出会いを描いた「伝説と予感」も
幼いころの風間塵のかわいらしさにほっこりしつつ、
ホフマン先生の衝撃によって風間塵の天才性が更に強調されていて、とてもよかったです。
本作について、恩田睦先生は続編はないといった言及をされていますが
ファンとしてはこの先のみんなの音楽生活を覗き見たい気もしつつ、、
きっとみんなであれば各々が素晴らしい音楽を生み出していくんだろうなという妄想もできつつ、、
ああ、でもやっぱり先生の表現で見たい、、といった複雑なオタクゴコロ。
とにもかくにも、「蜜蜂と遠雷」を含め、素晴らしい小説に出会えたことに感謝しつつ
今日も今日とて、プロコフィエフとバルトークのピアノ協奏曲3番に耳を傾けるのでした。
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